煙突の選び方

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煙突の3つの役割

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 煙突を設置する目的は、薪を燃やした煙を屋外に排気することだけと思われがちです。でも実は、薪ストーブの燃焼効率を高め、部屋を暖める力を最大限に引き出すためには正しい煙突の設置が重要になります。薪ストーブの性能が良くても、煙突の性能や設置方法が悪いと、燃えにくい・暖まりにくいという現象が起きてしまいます。また、薪ストーブを安全に使用するためにも煙突性能は重要になります。こちらでは煙突の正しい設置方法と、選び方をご紹介します。

 よく燃えてよく暖まる煙突とは? 排気効率のいい設計・材質二重管で強い上昇気流を起こす

シングル管・二重管の併用

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ストーブ直後の煙突には高い温度の排気煙が発生します。この部分にシングル煙突を使用し排気煙の熱を室内に移動させることでお部屋をより効率的に温めることができます。
一方、お部屋から出て行く煙突は二重管にして残った排気熱を保護し、ドラフトを持続させます。
排気効率の高い煙突

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木が良く燃える条件として燃えた後の排気がいかにスムーズに行えるかが重要です。スムーズに排気を行う為には断熱性能が高い二重管でドラフトを維持し、煙道に余計な空気が入り込まないように煙突同士がピタリと収まる設計がなされた煙突を使用することが大切です。
 
煙突設置のポイント

「薪ストーブの場合」

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屋根出し施工
煙突をストーブから真っ直ぐ伸ばし
屋根を貫通する方法
  煙突の部材が少なく済むため、購入・施工のコストが抑えられます。また燃焼煙が真上に抜けるため排気効率が良く、ドラフトが起きやすい設計です。一方、真下にストーブがあるため煙突の掃除が困難になること、屋根を貫通させるため防水コーキングの経年劣化により雨漏りの可能性があるなどのデメリットがあります。
 煙突の経路は曲がりが少なく、最短経路で軒上まで向かうことが理想のため、薪ストーブ使用の面においては理にかなった施工方法です。
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壁出し施工
ストーブから天井近くまで煙突を伸ばし
壁を抜いて屋根まで上げる方法
 曲がりに掃除口を設けることができるので煙突掃除が簡単になります。壁は屋根よりも紫外線や雨がかかりにくいので、防水コーキングの劣化が遅く、劣化した際の雨漏りも微小です。ただし煙突部材が多くなることや、真横に向く煙突が長すぎるとドラフト(上昇気流)を止めてしまい、ススがたまるなどのデメリットがあります。
 施工の際、煙突の先端は軒より高い位置に設置する必要があります。低いと火災の原因となります。

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 薪ストーブの煙突を選ぶポイントは、前述のドラフト(状況気流)を強く起こすための断熱対策と、スス・タールなどが発生しにくい環境をつくることです。
 薪ストーブは、薪が燃焼したときに起こる温かい空気が上昇気流を生み、煙突を通って排気されます。この排気される煙が外気に触れ冷却されると、ススやタールが発生し、固形化して排気を妨げてしまいます。またタールに含まれている酸が金属を刺激して煙突に穴を空けてしまう場合もあります。ススやタールを抑えるには、薪をきれいに燃焼させ、吸気と排気のバランスを整えることです。つまりここでも、正常なドラフトを起こすことが重要となります。
 外気に触れる屋外の煙突は二重断熱煙突を使用し、燃焼煙の温度低下を防ぎ、ドラフトを強くおこします。またガラリ等により燃焼に必要な空気が室内に取り入れられていることも重要です。

「ペレットストーブの場合」

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 ペレットストーブは電動ファンにより燃焼排気を行いますので、室内で煙突を伸ばして壁から外へ抜ける方法や、ストーブから煙突を真横に伸ばし壁をぬけて外で立ち上げる方法とどちらを選んでも大きな差はありません。ただし、強制排気により火の粉が飛ぶため、ストーブの排気口から概ね2mは煙突を立ち上げる必要があります。
 煙突の先は軒より下でも構いませんが、先端を斜め下に向けて軒に排気が当たらない様にするなどの処理が必要です。風が強い場所では排気が風に押されて逆流し、ストーブの火が消えることがあります。その場合は防風傘付の先端を取り付けて下さい。
 ペレットストーブは強制排気のため、煙突の先端形状や向きによっては壁が汚れることがあります。●●●●●